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Artist Statement


アーティストステートメント 2015

私は絵本を学ぶ専門学校時代にホアン・ミロのデフォルメされた自由なフォルムと強烈な色彩に大きく心を突き動かされ、絵画の世界で表現活動を目指すことになった。専門学校を卒業後、独学で絵を学び数年後に初個展を開催したのだが当時の絵はミロの影響が多く残っており、線で表現された半抽象的な作品が多かった。画材は主にソフトパステルを好んで使用していたが筆やパレットを使うことなく、必要な色を手でキャンバスに描くことのできる素材であること、閃いたモチーフをスピーディに表現できることなどが理由としてあげられる。

それから10年ほどはパステル画を追及することになるが、地平線や水平線だけで構成された青い色面で表現された抽象作品の時を経て、次第に鳥人間を中心的なモチーフとして描くことが多くなった。なぜ鳥を擬人化して描いていたかと言うと、単純に人としての飛翔への憧れ、多種多様でユーモラスな独特のフォルムと、それとは対照的な無表情な顔、そしてそれを人間の顔に置き換えることによって、感情を抑えた人物表現にして絵の心象性を高めたかったこと、それらが理由である。

画材も水性アルキド樹脂絵具という新しく開発された絵具との出会いがあり、パステルでの制作にひとまず区切りをつけ絵具での制作が中心となった。同時に心象風景のオリジナル性を高めるために、詩や俳句など言葉から絵を描き起こす作業が多くなってくる。言葉による人物や風景の描写と喚起が、私のパーソナルな経験や感情に対してちょうど良い形で緩衝材の役割を果たすことで、奥行きと客観性のより高まった作品が生み出されることに繋がってきたからだ。それに伴って、技法の上でも私の絵は一見不必要かと思われるような工程が自然発生的に生まれた。最上層の色面の下には20層を超える色が塗りこめられていて、その工程はオリジナルな色面を作り出すためでもあるが、織物のように塗り重ねられる過程には祈りにも似た思いも重ねられ、エスキースをした段階では非常にアバウトな構図であったものが、色が繰り返される運動の中で確固たるものとしてキャンバスに現れてくるのだ。このことは物理的な技法の説明からは外れている情報かも知れないが、私が絵を描き上げる上では非常に大事な事柄であると述べておきたい。また、水性アルキド樹脂絵具はアクリル樹脂と油の両方の性質を持っている絵具で、塗料の世界でも実績のあるとても堅牢性の強い樹脂を使用しているので、重ね塗りをすることで絵そのものの堅牢さを増す効果があり、またこの絵具は体質顔料(混合剤)を使用していないため非常に発色が良く透過性も高いので、重ねられた色が濁ることなく光の加減で変化するオリジナルな色面を作ることができる。私の絵は空想の中で紡がれた心象風景に人物や建物などが佇むシンプルな構図であることが多いが、前述したオリジナル性の高い色調とマチエールが生み出すどの世界にも存在していない空間性(空気感)が最大の特徴である。その空間に観る手が既視感と魅力を感じ、絵の中に意識を入り込ませたくなる作品であることがとても重要だと強く感じている。

現在日本国内の画廊で個展を中心とした活動をしているが、2015年までに40回を超える個展を開催し、日本では有望中堅作家として美術雑誌からの取材も数多く受けている。また主にアジア圏でのアートフェアにも出品し、独特の詩情感や色感に高い評価を受け台湾での個展を実現させている。今後の展望として、ニューヨーク、パリといったトップレベルのアートの中心都市で企画展を開催することを目標としている。民族、人種、文化の違いを超えた世界的な基準の中でもきっと認知される作品群であり、その評価は必ずこの10年の間に果たされるものだと考えているからだ。多くの人々にこれから生まれる作品達に大いなる期待を添えてご覧頂きたいと切に願っている。

オーガフミヒロ